ばはなれつ
うちけぶるまきたばこ。
たくじやうぎんぎよのめより
をんなのへそをめがけて
ふきいづるふんすゐ
ひとこそしらね
てんにしてひかるはなさき
ぎんぎよのめ
あかきこつぷををどらしめ。


  曲 線

みなそこの
ひるすぎ
走る自働車
魚をのせ
かつ轢き殺し
麗かな騷擾《さわぎ》をのこし。


  手

みきはしろがね
ちる葉のきん
かなしみの手をのべ
木を搖《ゆす》る
一本の天《そら》の手
にくしんの秋の手。


  だんす

あらし
あらし
しだれやなぎに光あれ
あかんぼの
へその芽
水銀|歇私的利亞《ヒステリア》
はるきたり
あしうらぞ
あらしをまろめ
愛のさもわる[#「さもわる」に傍点]に
烏龍《ウウロン》茶をかなしましむるか
あらしは
天に蹴上げられ。


  圖 案

みなそこに壺あり
壺のなかなる蝙蝠は
やみよの紋章
ふね坂をのぼり
朧なる癲癇三角形
くされたる肉にさく薔薇
さてはかすかな愛の痙攣。


  妄 語

びおろん[#「びおろん」に傍点]の胴の空間
孕める牝牛の蹄

眞實なるものには、すべて
或る一種の憂鬱がある。

くちつけのあとのとれもろ[#「とれ
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