》に」
「人間《にんげん》つて、みんなこんなんでせうか」
「さあ」
「それはさうと[#「それはさうと」は底本では「それうさはと」と誤記]なかなか長《なが》いね」
「どうでせう、あの態《ざま》は」
喧嘩《けんくわ》はすぐには止《や》みませんでした。
馬《うま》と馬《うま》は仲善《なかよ》く、鼻《はな》をならべて路傍《みちばた》の草《くさ》を噛《か》みながら、二人《ふたり》が半死半生《はんしはんしやう》で各自《てんで》の荷馬車《にばしや》に這《は》ひあがり、なほ毒舌《どくぐち》を吐《は》きあつて、西《にし》と東《ひがし》へわかれるまで、こんな話《はなし》をしてゐました。
「さようなら」
「では、御機嫌《ごきげん》よう」
それをみてゐた大空《おほぞら》の鳶《とんび》が
「これがほんとに人間《にんげん》以上《いじやう》、馬《うま》以下《いか》つて言《ゆ》ふんだ。ぴいひよろ」と長《なが》いながい欠伸《あくび》をしました。
動物園
動物園《どうぶつゑん》には澤山《たくさん》の動物《どうぶつ》がゐました。
勘察加産《カムチヤツカさん》の白熊《しろくま》がある夏《なつ》の日《ひ》のこ
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