白い光と上野の鐘
沼田一雅

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)上野《うえの》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)荒筋|丈《だ》け
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 私は『白い光り』と『上野《うえの》の鐘』の二題に就《つ》いて、ざっと荒筋|丈《だ》けをお話しようと思う、真に凄い怖いというようなところは、人々の想像に一任するより外《ほか》は無い。それに何《ど》うもこの怪談というやつは再聞《またぎき》のことが多い。その中でもまだあまり人に話したことのない比較的最も深い印象を与えられたものというと、突嗟《とっさ》の場合|先《ま》ずこの二題を推《お》す。
 美術学校創立当時の話であるから、まだ話としては新しい部に属する。その頃日本画の生徒に中国の人で某《なにがし》というのがいた。この某《なにがし》という人の実際|出遇《であ》ったことを、私は直接聞いたのであるから、再聞《またぎき》の話としても比較的信用が措《お》ける方だ。
 つまりその頃その某《なにがし》という日本画の生徒は、場所は麹町番町《こうじまちばんちょう》の或る家《いえ》に下宿していた。自分一人では無くて友達と二人
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