。住職の老人には私は平時《いつ》も顔馴染《かおなじみ》なので、この時談《はなし》の序《ついで》に、先夜見た談《はなし》をすると、老僧は莞爾《にっこり》笑いながら、恐怖《こわ》かったろうと、いうから、私は別にそんな感も起《おこ》らなかったと答えると、それは豪《え》らかったが、それが世にいう幽霊というものだと、云われた時には、却《かえっ》てゾッと怯《おび》えたのであった。さあそれと聞いてからは、子供心に気味が悪《わ》るくって、その晩などは遂《つい》に寝られなかった。私の実際に見たのではこんな事がある。



底本:「文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会」ちくま文庫、筑摩書房
   2007(平成19)年7月10日第1刷発行
底本の親本:「怪談会」柏舎書楼
   1909(明治42)年発行
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2008年9月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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