大叫喚
岩村透
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)矢張《やっぱり》
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これも、矢張《やっぱり》メリケン幽霊だ。合衆国《がっしゅうこく》の桑港《サンフランシスコ》から、国の中央を横切っている、かの横断鉄道には、その時、随分《ずいぶん》不思議な談《はなし》もあったが、何分《なにぶん》ロッキー山《さん》の山奥を通過する際などは、その辺《あたり》何百里というもの、全く人里離れた場所などもあるので、現今《げんこん》でもあまり、いい気持のしないのである。この鉄道が、まだ出来た当時などは、その不完全な工事の為《た》めに、高い崖の上に通《かよ》っている線路が脱《はず》れたり、深い谿谷《たに》の間に懸《かか》っている鉄橋が落ちたりして、為《た》めに、多くの人々が、不慮《ふりょ》の災難に、非命《ひめい》の死を遂《と》げた事が、往々《おうおう》にあったのだが、その頃に、其処《そこ》を後《あと》から汽車で通過《とおりすご》すると、そんな山の中で、人家の無い所に、わいわいいって沢山の人々が集《あつま》っているのが、見えるのだ。機関手は再三再四汽笛を鳴らして、それに注意を与え
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