われぬ色合いを表わそうとの試みに起こり、その結果唐代には、南部の青磁と北部の白磁を生じた。陸羽は青色を茶碗《ちゃわん》に理想的な色と考えた、青色は茶の緑色を増すが白色は茶を淡紅色にしてまずそうにするから。それは彼が団茶を用いたからであった。その後|宋《そう》の茶人らが粉茶を用いるに至って、彼らは濃藍色《のうらんしょく》および黒褐色《こくかっしょく》の重い茶碗を好んだ。明人《みんじん》は淹茶《だしちゃ》を用い、軽い白磁を喜んだ。
第五章において陸羽は茶のたて方について述べている。彼は塩以外の混合物を取り除いている。彼はまた、これまで大いに論ぜられていた水の選択、煮沸の程度の問題についても詳述している。彼の説によると、その水、山水を用うるは上《じょう》、江水は中、井水は下である。煮沸に三段ある。その沸、魚目(一一)のごとく、すこし声あるを一沸となし、縁辺の涌泉蓮珠《ゆうせんれんしゅ》(一二)のごとくなるを二沸となし、騰波鼓浪《とうはころう》(一三)を三沸となしている。団茶はこれをあぶって嬰児《えいじ》の臂《ひじ》のごとく柔らかにし、紙袋を用いてこれをたくわう。初沸にはすなわち、水量に合わ
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