語を作り、文芸の批評を以て宛《さなが》ら新聞紙の言論が殊更問題を提出して人気を博するが如き機敏をのみ事とするにおいてをや。
 われは今|自《みずか》ら退《しりぞ》きて進取の気運に遠ざからんとす。幸ひにわが戯作者気質《げさくしゃかたぎ》をしていはゆる現代文壇の急進者より排斥嫌悪せらるる事を得ば本懐の至りなり。因《よ》つて茲《ここ》にこの一文を草す。
[#地から2字上げ]大正三年甲寅初春



底本:「荷風随筆集(下)」岩波文庫、岩波書店
   1986(昭和61)年11月17日第1刷発行
   2007(平成19)年7月13日第23刷発行
底本の親本:「荷風随筆 一〜五」岩波書店
   1981(昭和56)年11月〜1982(昭和57)年3月
※ルビは新仮名とする底本の扱いにそって、ルビの拗音、促音は小書きしました。
入力:門田裕志
校正:阿部哲也
2010年3月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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