の冬枯《ふゆがれ》した梢《こずえ》に烏が群《むれ》をなして棲《とま》る時なぞは、宛然《さながら》文人画を見る趣がある。これと対して牛込《うしごめ》の方を眺めると赤城《あかぎ》の高地があり、正面の行手には目白の山の側面がまた崖をなしている。目白の眺望は既に蜀山人《しょくさんじん》の東豊山《とうほうざん》十五景の狂歌にもある通り昔からの名所である。蜀山人の記に曰く
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東豊山|新長谷寺目白不動尊《しんちょうこくじめじろふどうそん》のたゝせ玉へる山は宝永の頃|再昌院法印《さいしょういんほういん》のすめる関口《せきぐち》の疏儀荘《そぎしょう》よりちかければ西南《せいなん》にかたぶく日影に杖をたてゝ時しらぬ富士の白雪《しらゆき》をながめ千町《せんちょう》の田面《たのも》のみどりになびく風に凉みてしばらくいきをのぶとぞ聞えし又|物部《もののべ》の翁《おきな》の牛込《うしごめ》にいませし頃にやありけん南郭《なんかく》春台《しゅんだい》蘭亭《らんてい》をはじめとしてこのほとりの十五景をわかちてからうたに物せし一巻《いっかん》をもみたりし事あればわが生れたる牛込の里ちかきあたりのけし
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