路を歩かねえってことはねえんですからね。」
「だから、わたしゃあ、砂利の敷いてねえどころを歩きますあ。どうせ、道路いっぱいには、敷くわけであんめえからね。何処の道路だって、泥溝際のどころは少し残してあるもんだから。」
 甚吉は煙草を燻していて、彼等の方には見向きもしなかった。
「じゃ、甚さんは、自分の土地が、発展しようがしまいが、構わねえってんだね?」
 金平はとうとう角のある語調で言い出した。
「構わねえようだねえ。」
「構わねんだね? そりゃ、一体、甚さん、どう云うわけかね?」
「何んのわけで、そんなことまで調べるんだね? 一体その寄附っての、何処から出た話なんだね? 手前達が、勝手にきめて来て、俺が寄附しねって云うの、手前達にせえわかったら、そんでいいじゃねえか?」
「まあまあ、甚さん、そう腹を立てねえで……」
 栄三が顔に微笑を刻みながら宥めた。
「面白くもねえ。人を調べるようなことしやがって……」
「では又、気が向いたら寄附して貰うとして……」
 栄三は腰を上げながら言った。
「向かねえようだね。わたしゃあ、何時まで経ったって……」

       五

 併し新道には間もな
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