「うむ。素晴らしいもんだ。どれ、もう一度よく見せな。おめえの指先も素晴らしいが、それも大したもんじゃねえか。どれ、見せな。」
「見せてあげるけど、手をつけさせるわけには行かないわ。そら御覧。さあ!」
 婦人は右手を高く上げた。その靭《しなや》かな白い指の先に、素晴らしく大きな青光りのダイヤが、街燈の光線を受けて、青く赤く紫に、きらきらと光った。
[#地から2字上げ]――昭和四年(一九二九年)『新潮』八月号――



底本:「佐左木俊郎選集」英宝社
   1984(昭和59)年4月14日初版
入力:大野晋
校正:湯地光弘
1999年12月6日公開
2005年12月20日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全4ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐左木 俊郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング