松埃が葉にこびりつくので、桑畠にもならなかった。仕方がなく、その一部が野菜畠にされた。全部野菜を作っても、それを捌《さば》く途が無いからだった。そして秋から、麦を作ることなどが話されていた。其処にそのまま残されてあった水揚げ水車は、毎日毎日松埃を浴びて、白木造りだったのが、真黒になって突立っていた。
[#地から1字上げ]――一九二九・一二・三――



底本:「日本プロレタリア文学集・11 「文芸戦線」作家集(二)」新日本出版社
   1985(昭和60)年12月25日初版
   1989(平成元)年3月25日第4刷
底本の親本:「黒い地帯」新潮社
初出:「新潮」
   1930(昭和5)年1月号
入力:林 幸雄
校正:浅原庸子
2002年3月12日公開
2005年12月17日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全8ページ中8ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐左木 俊郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング