こう言って、雄吾から猟銃を奪《ひったく》った。二人の若者達は駐在所へ駈け出した。
「この悪熊も、とうとう為留《しとめ》られたな。」
「何を、馬鹿なことを。――おい、火を焚こうじゃねえか。」
炬火《たいまつ》が積み重ねられた。上から枯れ木が加えられた。焚き火は闇の中に高く焔先《ほさき》を上げた。人々は、がやがやとそのまわりを囲んだ。犬は遠くからいつまでも吠え止まなかった。
[#地から2字上げ]――昭和四年(一九二九年)『文章倶楽部』四月号――
底本:「佐左木俊郎選集」英宝社
1984(昭和59)年4月14日初版
入力:大野晋
校正:しず
1999年10月27日公開
2005年12月22日修正
青空文庫作成ファイル:
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