らその貧しい親達は、娘が可哀想だとは思いながらも、表面には不服な顔を見せなかった。――併し、彼女達を目の前に愛することによって、その開墾地の生活に明るい華やかな生甲斐《いきがい》を見出していた若者達は、それでは鎮《しずま》らなかった。彼等は開墾地を飛び出して行った。そして、お糸の相手だった耕吉は、浦幌の近くの小さな駅の駅夫をしている。おせんの相手の平六は池田へ行って馬車曳きになっている。佐平等が、自分達は食うや食わずに働いているのに収穫はみんな持って行かれると考えるように、若者達は、美しいものはみんな持って行かれて醜《みにく》いもの穢《きたな》いものばかりが残ると考えたのだった。
*
「意気地の無《ね》え野郎共さ。耕吉も平六も。あいつらに貴様ほどの度胸があったら、今頃はみんながこんな難儀をしなくて済んだのに……」
佐平爺は悠長に煙草を燻《くゆ》らしながら語り続けた。
「貴様はやはり、雄吾、親父に似ているんだなあ。その度胸のいいところは……」
「度胸じゃねえ。俺《おら》、我慢が出来ねえのだ。」
こう言って雄吾は、焚き火に屈《かが》み込んで枯れ枝を重ね直した。白い煙があが
前へ
次へ
全34ページ中30ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐左木 俊郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング