も気が済みませんからね。給金は、今までの倍にしますわ。」
 藤沢が無理にそう言うので、雄吾を伴れて彼の母は、開墾小屋から事務所に移って行った。同時に藤沢は札幌へ引き上げて行った。彼女は啜り泣きの日の多い侘《わび》しい冬を送った。
 翌年の春。藤沢は例年よりも早く開墾地に出て来た。そしてその夏中を、雄吾の母は、藤沢と一緒に事務所で寝起きをしなければならなかった。もちろん雄吾も一緒ではあったが、五六人の作男は、以前から他の建物に寝起きをしているのだった。
 藤沢は、その年はどういうものか、ひどく躁《はしゃ》いでいた。何事にも活溌だった。秋になると、貸し付けてあった食糧費をぴしぴしと取り立てた。そして、今年からはいよいよ小作料をも取り立てると提言して、それの実行に取り掛かった。
「小作料をね? この土地は、開墾すれば頂戴できる筈じゃなかったんですかね。」
 佐平はこう呆《あき》れた者の調子で言った。
「冗談じゃねえ。この土地だって資本金《もとで》が掛かってんですぜ。」
「じゃ、道庁から直接もらって開墾するんだったな。今頃は自分のものになってたのに……」
 こう佐平は言って見たが、それは既に遅
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