》が生え、そのお濠《ほり》に睡蓮の花が咲いていたら、私達は知らぬ間に、涙含《なみだぐ》ましい気持ちでいっぱいになっているに相違ありません。
○
緑滴《みどりしたた》るころ、東京近郊では、井之頭《いのがしら》の池に、あの静かな、原始林のような森林に囲まれ、錆《さび》のついた鏡のような池の面《おもて》に、白い夢のように睡蓮の花が浮いています。そのまわりに、小さい水鳥が浮いたり沈んだりして遊んでいるのを見ることもあります。
[#地から2字上げ]――昭和六年(一九三一年)『新月』四、五、六月号――
底本:「佐左木俊郎選集」英宝社
1984(昭和59)年4月14日初版
入力:大野晋
校正:しず
1999年9月24日公開
2005年12月19日修正
青空文庫作成ファイル:
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