が五、六人ばかり炉を囲んでいた。
「どうなさいましたよ?」
 吾助|爺《じい》は正勝の突然の闖入《ちんにゅう》に驚いて、目を瞠《みは》りながら言った。
「鉄砲なんか持って?」
「敬二郎の奴《やつ》らがおれがいちゃ邪魔なもんだから、おれを殺そうというんだ」
 正勝は喘ぎながら言った。
「殺すってね?」
「おれだって、おめおめと殺されちゃいねえさ。野郎どもめ! どうしてくれるか……」
 正勝はそう言って、戸口から路上へ向けて銃口を突き出した。
「正勝さんを殺そうなんて、敬二郎の野郎はなんて野郎だべなあ」
 だれかが叫んだ。そして、開墾場の人たちは総立ちになった。
「逆に、敬二郎の野郎をぶっ倒してやれ」
 開墾場の人たちは罵《ののし》りながら、土間の隅から薪《まき》を引っ掴《つか》んだ。
「大丈夫だよ。おれだっておめおめと殺されちゃいねえから」
「なんだってまた敬二郎の奴は、あんたを殺そうというんです?」
 開墾場の人たちはそう言いながら、路上に向けて銃を構えている正勝の後ろへと寄っていった。
「敬二郎の奴はこの機会に、森谷の財産を完全に受け継ごうとしているんだ。それには、おれがいたんじゃ邪
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