簡略自伝
佐左木俊郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)岩出山《いわでやま》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)宮城県|岩出山《いわでやま》町
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から2字上げ]――昭和五年(一九三〇年)三月一日執筆――
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明治三十三年(1900)宮城県|岩出山《いわでやま》町|在《ざい》の中農の家に生まる。当時既にこの層の没落は、全農民階級中最も甚しく、私の家もまたその例にもれず只管《ひたすら》に没落への途を急いでいたのであった。それを知って父は急に足掻《あが》き出し、奪還策として、山林田畑を売り払っていろいろの事業に手をつけ、失敗に失敗を重ね、却《かえ》って加速度を与えるの結果となったのであった。――その間、僅かに七八年、私は、どん底の中で小学校を卒業した。
随って、中等の学校教育を受けることが出来ず、悶々の日を送るうちに、機関車に対する憧憬止み難く、十六の夏北海道に走り、その秋、池田機関庫に就職。――この頃より、文学書に親しむ機会多く、文学に対して漫然とした興味を抱く。
併
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