恥《は》ぢて、死を安《やす》んずるを希《こひねが》ふ、故に神氣《しんき》亂《みだ》れず。又|遺訓《いくん》あり、以て聽《ちやう》を聳《そびや》かすに足る。而かも其の聖人に及ばざるも亦此に在り。聖人は平生の言動《げんどう》一として訓に非ざるは無し。而て※[#「歹+勿」、33−6]するに臨《のぞ》みて、未だ必しも遺訓を爲《つく》らず。死生《しせい》を視《み》ること眞に晝夜《ちうや》の如し、念《ねん》を著《つ》くる所無し。
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〔評〕十年の役《えき》、私學校の徒《と》、彈藥製造所《だんやくせいざうじよ》を掠《かす》む。南洲時に兎を大隈《おほすみ》山中に逐《お》ふ。之を聞いて猝《にはか》に色《いろ》を變《か》へて曰ふ、誤《しま》つたと。爾後《じご》肥後日向に轉戰して、神色|夷然《いぜん》たり。
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一七 堯舜文王、其所[#レ]遺典謨訓誥、皆可[#三]以爲[#二]萬世法[#一]。何遺命如[#レ]之。至[#二]於成王顧命、曾子善言[#一]、賢人分上自當[#レ]如[#レ]此已。因疑孔子泰山之
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