佐渡が島を出て
江南文三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)頭《かしら》

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 足掛四年、丸二年半の佐渡の生活は、私を純粹の島男にしてしまひました。
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佐渡に來ておけさをどりをせぬやつは木佛金佛石ぼとけなり
小佐渡來よ大佐渡も來よ文三とおけさをどりを共にをどらむ
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 最後に親よりまして自分を慕つてくれる四十人あまりの青年と輪を作つて踊りました。
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日本國どうなるとても佐渡が島おけさをどりて文三を待て
日本國どうなるとても文三はおけさをどりてまた歸り來む
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 おけさと言ふ民謠はもともと新潟縣の出雲崎邊から佐渡に傳つたものらしいのですが、今では佐渡、佐渡のうちでも相川が本家のやうになつて居ります。相川の古いおけさ、小木の古いおけさ、新潟の新潟おけさと言ふのを年寄から聽きましたが、今の出雲崎おけさ及び柏崎おけさとよく似たものです。しかし町の人が酒も飮まずに歌ひ、それも一年中到る處でう
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