權を還《かへ》せる、其事實に公の呈書《ていしよ》に本《もと》づけり。當時|幕府《ばくふ》既に衰《おとろ》へたりと雖、威權《ゐけん》未だ地に墜《お》ちず。公|抗論《かうろん》して忌《い》まず、獨立の見ありと謂ふべし。
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一〇 有[#二]本然之眞己[#一]、有[#二]躯殼之假己[#一]。須[#レ]要[#二]自認得[#一]。
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〔譯〕本然《ほんぜん》の眞己《しんこ》有り、躯殼《くかく》の假己《かこ》有り。須らく自ら認《みと》め得んことを要すべし。
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〔評〕南洲|胃《い》を病む。英醫|偉利斯《いりす》之を診《しん》して、勞動《らうどう》を勸《すゝ》む。南洲是より山野に游獵《いうれふ》せり。人或は病なくして犬を牽《ひ》き兎を逐《お》ひ、自ら南洲を學ぶと謂ふ、疎《そ》なり。
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一一 雲煙聚[#二]於不[#一レ]得[#レ]已。風雨洩[#二]於不[#一レ]得[#レ]已。雷霆震[#二]於不[#一レ]得[#レ]已。斯可[#三]以觀[#二]至誠之作用[#一]。
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〔譯〕雲煙《うんえん》は已《や》むことを得ざるに聚《あつま》る。風雨《ふうう》は已むことを得ざるに洩《も》る。雷霆《らいてい》は已むことを得ざるに震《ふる》ふ。斯《こゝ》に以て至誠《しせい》の作用《さよう》を觀《み》る可し。
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一二 動[#二]於不[#レ]得[#レ]已之勢[#一]、則動而不[#レ]括。履[#二]於不[#レ]可[#レ]枉之途[#一]、則履而不[#レ]危。
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〔譯〕已むことを得ざるの勢《いきほひ》に動《うご》けば、則ち動いて括《くわつ》せず。枉《ま》ぐ可らざるの途《みち》を履《ふ》めば、則ち履んで危《あやふ》からず。
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〔評〕官軍江戸を伐《う》つ、關西諸侯兵を出して之に從ふ。是より先き尾藩《びはん》宗家《そうけ》を援《たす》けんと欲する者ありて、私《ひそ》かに聲息《せいそく》を江戸に通《つう》ず。尾
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