更に一層廣汎なる所から言へば宇宙の活動の制裁の範圍に入らぬことはないとも言ひ又それとも少し區別があるとも言ひ又意思の動機が互に競爭するとも言ひ種々に言ひ囘はされる所を見ると博士の主義は頗る曖昧となつて殆ど解らぬことになるのである。
 井上博士曰以上段々論じ來つたやうな譯であるから進化論に就ては必ず先づ意思といふものを必要條件として研究せねば十分でない、此意思といふものの側から行くと即ち目的的といふことになる人間も動物も植物も皆目的的に働くのである、人間の道徳の事でも凡て意思が目的的に働くので完全に達するのである、凡て目的なしの行爲といふものは狂者の外にはない、而して其目的は必ず宇宙の活動から出て來るのである、哲學では必ず左樣に論究せねばならぬ、そこが即ち哲學の必要なる所である云々。
 評者曰宇宙の現象が凡て因果的機械的であるは言ふ迄もなけれども、其結果から見ると宛かも既に目的があつて出來たやうに見えるのであるといふことに就ては段々論じ來つた通りであるから最早繰返すにも及ぶまいと考へるのであるが併し高等動物及び人間に至ては意識上明かに目的がある、是れは目的と稱して不都合はない、けれども是
前へ 次へ
全38ページ中35ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
加藤 弘之 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング