随筆 寄席囃子
正岡容
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)噺家《はなしか》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)融通|無擬《むげ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符疑問符、1−8−78]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)泊まり/\
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寄席囃子
当代志ん生の味
当代の噺家《はなしか》の中では、私は文楽と志ん生とを躊躇《ちゅうちょ》なく最高位におきたい。文楽は菊五郎、志ん生は吉右衛門、まさしくそういえると思う。ただし、芸質の融通|無礙《むげ》なところでは志ん生の方が菊五郎らしく、双方の芸を色彩にたとえていえば文楽の方がハッキリと明色で六代目らしい。そのくせ一字一劃を疎《おろそ》かにしない文楽の小心さ几帳面さは吉右衛門を思わせ、志ん生のいい気な図太さは六代目に似かよっているのだからなかなかおもしろい。
最近|鴨下晃湖《かもしたこうこ》画伯も「落語三人男」と
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