きたとて、昼間自分がこの座敷で小糸相手に夢見たような芝居小屋を買い切っての大見得なんか、とても五年や十年では、切れそうもなくなってしまった。
それどころじゃない、米が買えるか、醤油が買えるか、食ってゆけるか、ゆけないか、生きるか死ぬかの見極めさえ、てんで[#「てんで」に傍点]いまではめちゃめちゃになってしまっている。
駄目だ、もうあんな夢は――。
だが――。
と、しずかに、心で心へ訊き返されるほど圓朝は、今少し前とは別人のごとく、深沈としたものを身に付けてきていたのだった――。
だが――誰もが食べていかれないとしたときお前は一体どうしよう、何をもて生き抜いていこうというのだ。
……何もない、かもない。四方八方、よしや目路のかぎりが再びいつかの大地震のときのよう大焼野原になってしまったとて唯ひとつ私には、信ずる稼業があるばかりだ。
何か、それは?
噺――噺だ。
好きで、命を細らせてまで打ち込んでなったこの落語家という商売だ。だから自分は落語家以外の何者でもないし、同時にまたそれほどしんから真実賭けたるところの私にとっては尊いありがたい落語家稼業なのだ。
ああ背立ち割ら
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