しく抱きしめながら。
「……」
 黙って首を振った。苦しそうな、とぎれとぎれの声でいった。
「だ、だってお前、お前に煮湯を飲ませた圓太なんかを引き立てて……そのまた圓太に面目ないよ、この私が……私が煮湯を飲まされて……子罰《こばち》が、弟子罰《でしばち》が当ったんだお前という。ごめん、ほんとうにお前、ごめん……」
「お止し……お止しなさいってば、ねえ師匠。いやだいやだ師匠そんなことおっしゃっちゃ。詫《あやま》ったりされちゃ私は悲しい。かえって悲しい。師匠師匠、ねえ師匠……昔のやっぱり昔のやかましい師匠にかえっておくんなさい、どうかお願いだ、ねえ師匠お願いなんです」
 取りすがったまんまでいる師匠の身体を何べんも揺った、オイオイ声立てて泣きつづけながら。
 と見ると師匠も泣いていた。大きな鼻の周りへ、キラリ条《すじ》引いた涙を光らして。いつか庭から上がってきていた圓太郎までが、そこの畳へうつ伏せに、貰い泣きしていた。
「ねえねえ師匠」
 やがて涙の顔を袖で拭うと、やっと己を取り戻した圓朝がやさしい笑顔を見せて、
「お願いです元気になって。もういっぺん元気になって三遊派のために働いて下さい
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