刎橋の受け台について
木村荘八

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)刎橋《はねばし》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)こつちがし[#「がし」に傍点]
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 吉原のおはぐろ溝とこれに架かつた刎橋《はねばし》――(一葉がこの字を使つている)――「たけくらべ」にいふ「……垢ぬけのせし三十あまりの年増、小ざつぱりとせし唐棧ぞろひに紺足袋はきて、雪駄ちやらちやら忙がしげに横抱きの小包はとはでもしるし、茶屋が棧橋とんと沙汰して、廻り遠やこゝからあげまする、誂へ物の仕事やさんとこのあたりに言ふぞかし……」、この棧橋。
 この構造については、――前に調べたことがあつたが、その時よく分らなかつたのは、廓内の向うから落ちて架かつて来る刎橋を溝のこつちがし[#「がし」に傍点]で受け留める、その「受け台」についてゞある。
 ところが、それがやつと分つたので、何かの文献にもと、書いておくことにした。
 元々このハネバシについてぼくが書いたのは、前にも説明したやうに、舞踊の装置方をたのまれたからで、それで、ぼくとしては矢来町からの名指しでは、といふわけ
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