いの。
お秋 それは大丈夫。あれは町田さんや初ちやんの事ぢやないのよ。大丈夫だわ。(間)あの人だつて本当は悪い人間ぢや無いんだわ。(間)ね、初ちやん、あんたは、町田さんを本当に思つてゐるのよ。さうなのよ。(間)
弟 姉さん! 姉さん! 下に誰か来てゐるぜ。え、姉さん! 俺にや聞えるんだ、誰か来てゐるぜ。
お秋 多分おかみさんでも起きたんだらう。
弟 さうぢや無いんだ。おかみさんとは違ふよ。
お秋 ――。
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阪井がスツと立上る。しばらくヂツと立つてゐる。又坐る。短い間。青い顔をした町田が顔を出す。
[#ここで字下げ終わり]
町田 お秋さん、ゐるの? お秋さ――(初子を見て)あ初子、此処にゐたのか!
初子 ――。
町田 捜してゐたよ。どんなに捜して居たか知れないよ。どうしたんだ? どうしてまた――。
お秋 町田さん、あんた今、杉山と逢はなかつた?
町田 あゝ、そこで逢つた。何だか下を向いて歩いてゐて、僕に気が付かなかつたらしい。――ゆふべね、あれから、僕、ひどい目に逢つたよ。――彼奴又短刀まで出した。金を出せと言ふんだ。出せと言つたつて此方にもありやしない。仕方が無い
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