うなんだ。彼奴は考へて考へ詰めたあげくの事に相違無いんだ。
お秋 喧嘩でもしたの?
町田 馬鹿な、そんな事ぢや無いんだよ。――事が違ふんだ。――彼奴まだ此処に来てゐないとすると――秋ちやん、どうしたらいゝだらう。お願ひだから考へてくれないか。僕には何もかもわからなくなつた。どうも――。
お秋 だからさ、何がどうしたんだか、言つて見なきや解らないぢや無いの。
町田 あの杉山だよ、杉山がこんな事になさしてしまつたんだよ。杉山が金をゆすつたり、恐迫したりするもんだから、初子は僕んとこに居れなくなつたんだ。
お秋 だつて町田さん、そんな筈は無いぢや無いの? あの時、杉山さんは手切れまで取つてゐるんぢやないの?
町田 そんなもの何にもなりやしなかつたんだよ。――そりや一ヶ月ばかりは、僕等んとこへは寄りつかなかつたさ。――しかしそれからは三日にあげずやつて来るんだ。――居すわつて動かないんだ。――何と言つても、そのたんびに金をやれば、その時だけは帰るが、次の日になると又来るんだ――。
お秋 だつて、あんたんとこ、杉山さん、知らなかつた筈ぢやないの?
町田 あの男には、そんな事捜す位、何でも無いんだ
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