しばり附けられている)
房代 どうぞ、こちらへ。
モモ 須永さん、こっちへいらっしゃい。
須永 ありがとう。(空いている椅子にかける)
モモ どうかしたの? (顔を突き出している)
私 夕飯はすました?
須永 いえ。
私 まだかね?
須永 いえ、いいんです。
私 どっち? まだならなんか――
織子 有りましてよ。どうぞ、あの――
須永 いいんですよ。
私 遠慮したって、はじまらん。
須永 あの、ちっとも、おなか空いていませんから。
私 そうかね。……(織子に)いいですよ。
モモ どうしたの須永さん?
須永 え?
モモ 声が変よ。穴の中から聞えてくるみたい。
柳子 失礼なこと言うもんじゃないわ、モモちゃん。
モモ うん。……(片手を伸して、わきに掛けた須永の肩にさわっている)
須永 フルートはやっていますか?
モモ 聞かせたげましょうか?
須永 ええ、どうぞ、是非。
私 なんか用が有るんじゃない? 僕の部屋へ行こうか?
須永 はあ、いえ、しばらくお目にかからないもんで、ちょっと。
私 つとめの方は行ってる?
須永 ええ。
私 何とか言った、劇団、ズーッとやってるの?
須永 あれは、こない
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