その内、立派な先生をめっけてあげる。
モモ うん。……(ニコニコしている)
若宮 (それまで他の一同に関係無くソロバンを入れては手帳に数字を書きこんでいたのが、計算がすむと、それをサッサとポケットにしまいこんで)さあて、いただくか。(と箸を取って、一同を見まわしてキョトリとして)どうしました?
織子 どうぞ、召上って。
若宮 そうだ、房代、ウィスキイがまだ有ったっけ。出しておくれ。
房代 でも、後になすったら。皆さんに悪いわ。
若宮 なにが? だってホンの一杯飲むだけの――なにもお前、ここは自由主義なんだから、(私に)ねえ先生。
房代 それに、織子さんに悪いわ。
若宮 どうしてさ? お祈りは、なすったらいいじゃないか。(ノコノコ立って棚の上をキョロキョロさがして、ウィスキイのびんとコップを二つ三つ持って元の席へ)……ねえ奥さん。
織子 ええ、ええ、どうぞ御遠慮なく。
若宮 ハハ、そうれ見ろ。一つ、いかがです。(自分と私と浮山の前にコップを置いて注ぐ)カナダの何とかって、そんなに悪くはありませんよ。
私、ありがとう。
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(その間に、織子は食卓の隅で、眼をとじて短かい
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