全体この、株式の極意はだな――いや、いや、いや、金なら、いくらでもあげる。もう金はいらん。金なら全部あげる。その代りに、聞かせてくれ。どう言う事なんだ? いえさ、そう出しぬけに君、殺生じゃないか! なんだい全体、え?
須永 ……(言葉はよくわからないが、そう言いながら迫って来る若宮の、全身をワナワナとふるわせながら追求して来る鬼気のようなものに押されて、ジリジリとさがる)許して下さい。僕はなんにも知らないんです。
房代 お父さんっ!
若宮 あ? お豊か? お前どうしたんだ?
房代 私、房代よ、お父さん! しっかりして!
若宮 ……げんきゅう寺の坊主が言ったぞ。一に非ず二に非ず、一にして二なり。是に非ず彼に非ず、是にして彼なり。無。……無たあ何だと言ったら、売った! と手を振った一瞬間だと言ったな。戦争まえ山桝の親父が、株屋は禅をやらなきゃいかんと、引っぱって行かれた。なに、なまぐさ坊主だ。説教の後は、いっしょに芸者買いに行きやがる。……無だと? 冗談言っちゃいけねえ。死ぬんだぞ私あ! どうしてくれる? え? なら、なぜ生れて来たんだ?
須永 ……(困り果てて)そんな、そんな事言ったって
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