……あゝなんでえ、ルンペンだよ。さうか、君の色男はルンペンなのか?
アサ 大きな声をするのは止してよ、もう時間過ぎなんだから。
客一 まぶは引け過ぎつて言ふ奴か? ヘツヘヘヘ、こてえられねえなあ。若干、催すねえ。酒だ、畜生。
アサ 本当にもうお帰りになつたらどう、見つかると、又うるさいんだからさ。
客一 さう邪魔に、しなくともいいでせう? ねえ、君、ねえ、さうでせう、おテクちやん。(変にいやらしく、からんで行く)
アサ うるさいわね。(はなれる)
客一 オーツ、ウヰスキーだ!
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アサ黙つてスタンドの方へ行く。ミルが往来の方から戻つて来る。追ひすがつて来る鉄造。
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ミル ……いいの、わかつてゐるわよ。
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二人は外の階段の前に立停る。
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鉄造 ところがさ、大体あのお辻さんと言ふ人は、あなたの考へているやうな、そんなばかな……
ミル だつて、小父さんがそんな事を気にしなくともいいぢやないの。(と言ひすてゝ階段を昇らうとする)
鉄造 (ひきとめて)おゝ、おゝ、ミルちやん、まだ大事な話が残つてるんだ。後生
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