さうか、まあいいよ……ハハハ。お前には解らなくともいいのだよ、ねえ修さん。
修 ……ありがたうございます。
ミル へーん? (二人を身較べている)なんだい?……(彦六はニコニコしながら裏梯子の方へ)私が行つたげると言つたら。
彦六 お前はお稽古をしろ。(消える)
ミル ……(ふくれてゐる。やがて修の顔を見て)なんなの、一体?
修 君のお父さんは良い人だなあ。
ミル 自分達だけで、変に心得てばかり居て……生意気だわよ!
修 ハハハ、君は怒つている時が一番綺麗だよ。
ミル なにを言ふか! 急に気が強くなつちまつたにや、オドロイタ。少しどうかしたんぢやない、此処が?
修 矢でも鉄砲でも持つて来い!
ミル 松沢村が近いから用心なさいね。フン、本当になんなのよ、さつきのありがたうございますつて言ふのは?
修 僕が君のお父さんに御礼を言つたのさ。
ミル 知らない! 勝手にするがいいや。さあ、稽古だ。えつと、お辻さん、どこ?
修 僕には事情はよく解んないけど、全体どうする気なんだらうね、君のお父さんは?
ミル 私いちんち家に居ないからよくは知らないけど、いろんなのが次から次と、引つきりなしに押しかけ
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