いうことだし、つぎに、あなたのほうでもそれらに語りかけないわけにはいかないということです。
それから、歩いていると、しぜんにあなたの血行がよくなると同時に、歩行のリズムがあなたの心身に快感をあたえるということだし、しかし同時に速度が早すぎたり距離が遠くなってくるとあなたは疲労して不快になり、休まなければならぬということです。そして休んでいるあいだも、疲労が去ればふたたびあなたは歩かなければならないことを知っているということです。したがって、あなたが気持よく遠くの道を歩くためには、疲れすぎないうちに休み、休みすぎないうちに歩きだすのが、いちばんかしこい方法であることを知るということです。
それから、食物や飲物をとるときには、たずさえているものの全部を飲んだり食ったりしてはならない、かならず少しずつ残して進まなければならぬし、同時に、食物や水を手に入れうるところを通りかかったら、それらをいくらかずつでも手に入れるようにしなければならないということです。
さて、そのようにして歩いていくうちに、歩いていく当人のうえにも、その旅人に接触する土地々々の人びとのうえにも、いろいろのことが起きま
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