りやしないわ、現にその人を見ながらなら尚更ひどい所まで考へられる訳ぢやなくつて? それでいゝんぢやないかしら。
利男 そりや……なんですよ……その、愛情と言ふか恋愛と言ふか、そんな感情がともなつてゐる場合なら、それでいゝんですよ。しかし、いきなりそんな失敬な――。
京子 同じ事ぢやなくつて? それに、いきなり初めて見てその瞬間に恋愛なんて、そんな手の込んだ気持なんか起りつこ無いわけでしようし、無理だわ。
利男 それぢや、なんですか、……それぢや、えゝと――京子さん、現にですね、あなたがさうしてゐらつしやる所をですね、僕がですよ……僕が見てですね、どんな失敬な事を考へてもいゝんですか?
京子 (自分の半裸の身体を見廻して)……さうね、……どうぞ御自由に。……だつて、あなたの頭の中まで私が支配するわけには行かないんですから。……でも、私の方だつて、あなたがさうしてゐらつしやる所を見て、どんな事考へることだつて自由ですからね、相みたがひだわ。
利男 ……(立ち上つてモヂモヂしてゐる)そんな! そんな事言へば――。
京子 アツハハハ。ハハハ。
利男 ……そいぢや、京子さんは、結婚の前提としての
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