……(不意にバラバラと涙が[#「涙が」はママ]こぼして泣き出す。泣きながら、二度も三度も頭を下げるやうな事をする)
赤井 ……(その相手を自分も涙ぐんで見詰めてゐたが、やがてわざと少し滑稽に)どうだ描くか、久我先生?
五郎 ……済まん。(又頭を下げて)描く、描く。
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 この二人の親友の会話を、寝台の上から、静かに、しかし昂揚した愛情で以て見守つてゐる美緒。
 短い間。
[#ここで字下げ終わり]
赤井 ……そいからねえ久我、僕の未発表の小説が三つばかり有るんだが、今になると別に発表したくも無いが、でも発表してもいゝ。どつちでも僕あかまはん。どつちにしたつて大して気にならなくなつた。とにかく伊佐子が持つてゐるから、後で、そいつをどうするか、君に一任するから、君が良いと思つた通りにしてくんないか。
五郎 そんな事言ふな。(怒つてゐる)そんな事は俺は聞きたく無い。君が帰つて来てから決めりやいゝんだ。手か足かが無くなつてもいゝから、とにかく帰つて来てから決めろ。
赤井 アツハハハ、いゝよ、いゝよ、怒るなよ。とにかく聞くだけ聞いといてくれ。ハツハハ。そいからね、伊佐子の事も
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