分で飲んでしもう。そのカラの椀を今度は誠の方へ差し出して)兄さん、ひとつ。
誠 いいよ、僕ぁ。(汁をすする)
欣二 うまいよ!
誠 僕は飲めない。
欣二 飲めない? 冗談言っちゃいけない。(圭子に)じゃ、君ひとつ。
圭子 ありがとう。でも――
欣二 遠慮するなって。
圭子 でも、今日は、駄目なの。
欣二 へえ? ああそうか、ヘッヘヘ、でも一杯位いいだろう?
双葉 圭子さん、駄目だって言っていらっしゃるじゃないの兄さん! (欣二の左腕を掴んでいた手がすべって、欣二のワイシャツが[#「ワイシャツが」は底本では「ワイシャッが」]めくれて、その二の腕に、ガーゼでおさえてバンソウコウを張った所が現われる。圭子の話を思い出し、それをジッと見て)……なあに、兄さん?
欣二 ……なに、チョット、すりむいた。
双葉 ちい兄さん――私たちが、ちい兄さんの事、どんだけなにしているか――
欣二 離せよ。(腕を振りもぎって)フッ、アラアの神様か。まあいいよ。(立って若い男の方へ行く)おい君、飲みたまえ。(椀を差し出す)
男 ……(受取らず、一歩しりごみして、ヒョックリ、頭をさげる)
三平 食べる物は、もう無いの
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