がすんで、埋めちまったにゃ埋めちまったんですけど、いいかげんにしといたもんですからね、いつの間にか根太がゆるんでしまって、こら――(両足でドシドシ床を踏んで見せる)こんな。
床下の声 おっと! ど、ど、どうしたんだあ?
せい (笑いながら再び穴の下をのぞいて)ほほ。――(床下の声が何か言う)――いいえ、お客さんですよ。――(床下の声)はあ、学生さんで、あの――
清水 清水八郎です。
せい 清水さんとおっしゃるかた。(床下で何か言っている声)――そうです、あの、学校の方の。(床下の声)
清水 (床下へ向って)三年のBクラスの。――(床下で何か言う声)はあ、いえ、僕はいそぎませんから。
せい 腹んばいになってやっていらっしゃるんですから、急には出て来れないんですよ。まあどうぞおかけんなって。
清水 はあ。(しかし、立っている)――
せい こちらへ。(食卓のそばの椅子を指す)
清水 ――失礼ですが――奥さんでいらっしゃいますか?
せい はあ?
清水 いえ、あの、先生の――?
せい まあ!――ほほほ。
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(床穴から柴田欣一郎がニュッと首を出す。半白の頭髪を手拭でしばり、
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