させたまえ。その実行の出来ない者は追い出してしまいたまえ。次に、君は苦楽座の全員に次のように宣言して賛成を求めたまえ。「苦楽座は一個の有機的な全体である。一人々々の成員は全部、この全体に仕える一個の兵士である。各人は厳格な一個ずつの資格を持つ。それ以上でもそれ以下でも無い資格を持つ。全体の意見は、徹底的に絶対である。スタアやスタア的意見の存在は許されない。そして、その全体の意志の執行者として一人又は数人を、われわれ全体で撰び据える。据えられた執行者の命令は徹底的に守られなければならぬ」
これに賛成しない者、これを実行しない者は、追い出してしまいたまえ。
さあ、これだけだ。君等に、これがやれるだろうか? やれると思う。また、到底やれまいとも思う。やれると思うと言うのはこれだけの事は格別むずかしい事でも何でもなく、普通の良識を持った健全な人には誰にでもやれる事だからだ。また、到底やれまいと思うと言うのは、君達既成俳優の神経は既にいろいろな理由から少しずつ不必要な不安や余分のスタア意識などに蝕ばまれている場合が有って、そのため、普通の事が率直に受取れない者が居るからだ。そして、これがやれ
前へ
次へ
全66ページ中61ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング