へえった、飲みない。
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そこへ川下から、沢の浅瀬を渡って来る足音がチヤッ、チヤッ、と近づいて来て、
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仲蔵 あーい、六平の小父さんよーう!
健二 ああ、仲が来た!(そっちへ呼び返す)おーい、仲蔵かよう!
六平 ほうら、お花坊のお婿さんがやって来た。
お花 なに云よるとな、小父さん!
六平 んでも、そうじゃろがい?
お花 知らんっ!
六平 どうしたな? なにをそんな怒るか?
健二 小父さん、それは、もう云わんなおって――あの……
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云ってる間にも仲蔵の足音は近づいて、
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仲蔵 おやおや、健二もお花ちゃんもここにおったっか、はは、ちょうどよかった! 営林区の丸材の切り出しはどうしたかと思うちね――
健二 しめて十八本、下の落しの方が四十四、五本たい。
仲蔵 よかよか。そうか、んじゃ今日の俺の役目はこれですんだようなもんたい。
六平 あい、茶ば飲みない。はは、さあっきから、お花坊がおのしをお待ちかねたい。
お花 ばか小父さん!
仲蔵 はは、いや、実あな、お花ちゃんに今度はどんなおみやげ買うち来
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