声が聞えるので、ひょいと見ると、寝てるマキが、顔に微笑を浮べている。やがてポカッと眼を開ける。
[#ここで字下げ終わり]
豊後 オツ、マキちゃん気がついた。どうしたマキちゃん。元気を出せよ、マキちゃんよ。
[#ここから3字下げ]
マキが、クスクス笑いながら弱い声で
[#ここで字下げ終わり]
マキ 肥前のおじさん、私が死ぬんだと思って、お経歌いはじめたわ。
豊後 え、お経?
[#ここから3字下げ]
と、マキが
[#ここで字下げ終わり]
マキ 肥前のおじさん、もう一度歌って。
[#ここから3字下げ]
それを聞いてた肥前が、ムツとした顔のまま、
「ヤーレ
破れわらじと
おいらの仲は
すぐに切れそで
切れやせぬ
アーチートコ、パートコ」
とユックリ歌いすましてから、
「およねさん!」と云った。
寝ているマキがニコニコして、
[#ここで字下げ終わり]
マキ およねさん? およねさんて、誰れ? え、およねさんて誰れ?
[#ここから3字下げ]
そのマキの顔に生色あり。
豊後、岩見、陸前などが……
[#ここで字下げ終わり]
豊後等 やあ、なんだか馬鹿に元気になったじゃないか。よし先生が
前へ
次へ
全40ページ中38ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング