が、こんなふうになっちまうのがよ、どう言うだか――
マキ うん、そりゃ、あたいにもわかんない。生れつき、そういう性分だったかもわかんないし……あれから、あたい、叔母さんちだの、伯父さんちだの、それからあっちこっちの保育園だとか収容所に行ったり、いろんな目にあった。みんな、よくしてくれた。すぐに着物をくれたり、オモチャをくれたり、食べ物くれたりするんだ。そんな着物を着さされて、そんなオモチャを抱かされて、新聞やなんかの写真をウンととられたよ。そういう時は、あたいたちは笑わなきゃならないんだ。……そいで、あたいの事を、マキとして、山の内マキと云う名を持った子供として可愛がってくれた人は一人もいやあしなかった。どこまで行っても、戦災児だ。戦災児だから、かわいそうだから、かわいそうと思わなきやならんから、かわいそうがってくれるだけだ。……いっそ、着る物や食う物なんか、どうでもよいから、いえ、言うこと聞かない時あ張り倒したっていいから、山の内マキを叩きなぐってくれる人がいてくれたら、その方がよかったかもしんない。
肥前 ……そうかなあ。そんな事もあるもんかな。俺にゃよくわからねえ。
マキ そうな
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