やあ二度なかたい。会うてきんしゃい。相手が、あのおよねさんちゆう子ないば、私も、二三度会うて、よく知ってる。ありゃあ、芸者ちゆうたって、ここらの町のゴゴさんよりゃおとなしか子じゃけん、心配いらんたい。
番頭一 ばってんが、おとどしみたいに柳町で金ば使いすぎて材木代金にまで手ばつけて日田に帰られんごとなっちゃあお互いに困りますけんな。
仲蔵 そ、そ、そんな番頭さん……
番頭一 ┐
    ├ワッハハハハ。
番頭二 ┘
お銀 伍助さんと、杉村さんな、遊びにやいかんとなあ?
番頭二 なあに、あの二人は、夕飯はかっこみ、かつこみ、とっくの昔にとび出して行きましたたい。

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お銀、番頭一、仲蔵が笑う。
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仲蔵 (奥へ向いて)五郎しゃん、さあ、行きまつしう。
五郎 あ、あい。

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カタカタカタと小さい下駄の音をさせて出てくる。
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仲蔵 五郎さんば、いっときお借りしまつす。
お銀 そりゃあ、よかばってん、この子ば妙な所へ連れてって酒なんぞ飲ませるのは、よしにしてくんなさいよ。
仲蔵 へへ、そんな……。そい
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