っちへ渡すのは初めてでがんす。どうぞよろしう!
伍助 伍助でございやす!
杉村 杉村というもんで!
お銀 あいあい。あいさつは後で、ゆっくりしまつしう。まあまあ!
五郎 (チヤッチヤッと水の中にふみこみながら)仲しゃん、よう来たない!
仲蔵 わあ五郎しゃん、しばらく見ないうちに又大きうなってしもうたあ! 中学校はどうなさったとなあ?
五郎 もう二年生たあ。
仲蔵 二年生かあ、そうですかい!
お銀 これこれ五郎、お前、はだかになってしもうて川ん中へ飛び込うで、なにをすっとな、危なか!
五郎 ばってん、すぐ水あげにかかっとでっしう?
お銀 なあに、まあ一休みしてからにすつだ!
仲蔵 うんにゃ、お神さま、ちょうど番頭さんや男衆もいてござるけん、ついでに板とヌキだけは直ぐに水あげしてしまいまつす。一日置きや一日だけ重うなるだけじゃけん! 皆の衆、頼んだぞう!

[#ここから3字下げ]
番頭や人夫たち、それに伍助と杉村などが「おうっ!」と答えチヤチヤチヤと水あげの音。
その中にひときわ甲高かに聞える五郎の掛け声。
お銀がカラカラと男のように笑う。
ナタで、板やヌキをしばってあるツタをストンストン
前へ 次へ
全40ページ中15ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング