い、あちこち樹立ちのある所をグルリ※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]ると、土地がいつたんグッとさがつて、その片側が、急な傾斜の、まあ小さな崖になつている――その崖に、正面からは下生えやカン木が邪魔してよく見えないが、そばへ行くと、小さい入口が二つ並んでいる。その一つに、古賀さんが身をこごめて入りこんだのには、ビックリした。しかた無く自分も入つて行くと、戰爭中の仕事だろう、内部は割に廣い横穴。と言つても、もともと大急ぎで一時しのぎに掘られたもので、その後くづれ、こわれて、高さ五尺たらず、横はばは四尺ぐらい、奧行も二間そこそこ。暗い。と言つても、奧が淺いので眼が馴れると、奧まで一眼で見えるし、地面にはワラやボロボロになつたムシロなど、ちらかつて、紙クズやあきカンなど捨ててあり、陰慘な感じはあまり無く、どこかのゴミ捨ての穴と言つたところ。
 そこに、和服を着た小柄な女がションボリ、向う向きに立つていたのが、僕等二人が入つて來たのに氣づき、フラリと此方へ振り向く。
 その顏を見ると、僕はウッと息をのんだ。いや、その女の顏が異樣であつたとか言うためでは無い。永く風呂に入らぬらしく、よごれ
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