ラダもよ。ありや、まだ處女ずら」と言つてニヤニヤ笑うのです。「處女ずら」と言うんです。そういう言い方をする人なんです久子さんという人は。僕が困つて
「迷惑をかけますねえ。どんな氣で、こんな所までやつて來るんだか……」と言うと
「そりや、あんたのオヨメさんになりたいからさ。貴島さん、あの人もらつちまいなさい。いいんだろ? あんただつて、あの人、好きなんだろ?」
 と、一人でのみこんだような事を言うのです。
 そうです、好きだと言われれば、好きかもわからない。しかし、具合が惡くつてしかたが無いのです。それにルリにそばに居られると、なにかしら僕は押しつけられるようで、變に息苦しくなるのです。やりきれなくなるのです。それが段々こうじて來ると、しまいにルリが憎らしくなつて來て、逃げ出したくなるのです。そして、あの女――あの晩の女のそばへ行きたくなる。あの女が戀しくなる。だのに、あの女は、どこにも居ない。どこを搜しても、もう見つけ出すアテは無い。どうすればいいんだ? 俺は、どうすれば――頭がボンヤリして來ます。ボンヤリしたまま、ルリの事が益々息苦しくなり、怖い。變に怖いのです。
 ――遂に僕は我慢
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