、僕はルリをそこに見つけ出したのです。ルリがそこに居たのです。綿貫ルリです。その女と同時に、見つけたのです。びつくりしました。うまく言えません。しかし、そうなんです。
いえいえ、僕は、神秘主義者になつたのでは無いのです。これは事實ありのままの話です。僕は哲學をしようとは思つていません。現に、今僕がこれを書いている隣りの室では、あの女とルリの二人がほとんど抱き合うようにして眠つているんです。
あの女の方は、あれから毎日、無理やりにつかまえてフロに入れて洗つてやつているので、最初のような、ひどい惡臭は立てません。しかし、やつぱり、どうにかすると、腐つた臭いがします。ルリは、良い匂いを出します。シットリとしたスモモの花のような匂いです。その二人が、抱き合つて寢ているのです。實に妙な氣がします。
――こんな事いくら書いていても、しかたが無いので、僕があの女を見つけ出すまでの事を、かいつまんで書きます。
あれからズッと僕は山梨の久子さんの家に厄介になつていました。いろんな百姓仕事にも馴れて來ていました。久子さんの、變に動物的な荒々しい性質は好きにはなれませんでしたけれど、前ほど氣になら
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