。そして急に、もう一度そこへ行つて見たくなつたのです。ワケはありません。なんとなく、久子の所へ行けば、イキがつけそうな氣がしたのです。久子の生活は、なにかしら下卑ていて、言わば動物的ですが、とにかく、ホントに根の生えた生活のような氣がしたのです。ホントの人間のような氣がするのです。徳富稻子などの生活や思想に較べれば、まるで下等なものかも知れないが、あの方がホントだ。そんな氣がしました。山内久子は、自分の生活を踏んまえてガッシリと立つています。老母と幼兒を守り、亭主の歸國を待ちながら、誰から何と言われてもスラリと立つて、百姓をしています。だから僕が行つても、僕の中へ踏み込んで來たりはしません。僕なぞには、かけかまい無く、やつて行くでしよう。その點が今の僕には良いのです。ホッと息がつけそうな氣がするんです。よし、あそこへ行こう!

 その次ぎの日に又此處へ來たのです。
 そんなワケです今僕がこんな所に居るのは。そして、來てよかつたと思つています。
 久子一家は僕が又現われても、大して意外そうな顏はしませんでした。もちろん、歡迎するようなこともありません。ちようど犬たちの群が、他から來た犬を
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