氣が無いようである。そうかと言つて、早く死のうとも思わぬらしく、そのへん、自分にはわからぬ。當人もそんな事に關する事は一言も言わない。大體、病状のために呼吸が苦しいか、あまり口をきかぬ。低い聲で靜かに二言か三言かを言つて默り、又、しばらくたつて、ポツンと一言か二言か言うといつた調子。あらゆる事がらに、興味を示さず。Mさんの事を自分が言い出しても、
「そう、お氣の毒だつたわね……」と言つて、天井を向いて寢ている顏の筋一つ動かさない。それでいて、冷酷と言うのでは無い。ただ、そういう事に氣持を動かすような心境から、はるかに遠い所に行つてしまつているとでも言うか。だから、自分がこうして彼女を訪ねて來た理由なども聞こうとはしないし、又、自分が彼女をたずね當てた徑路をクドクドと説明しても、興味が無いか、ほとんど聞いていない。野々宮キミが燒死した現場に居たらしいが、それを語るにも淡々として、短い言葉で、「……顏の皮が、アゴの所まで綺麗にむけてしまつていたわ。ベロッと」そんなふうに言うが、感情はこもらない。それで顏は、すき通つたような、案外に痩せては居ず、やさしい、美しい表情だ。見ていて、なんだか恐ろ
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