らず、あの人の事をこうしてあなたに向つて書けるんです。とにかく、僕は立川さんを見ていて實に強い印象を受けました。そして、その印象は決して暗いものでは無かつた。明るい、肯定的なものだつたんです。
 僕は醉いました。そして、しまいに立川さんと二人でヨロヨロしながら、そこでタンゴを踊つたりしました。非常に良い氣持だつたのです。しかし、そんなふうになつては、前に聞いた三四人の女の人たちの事を聞き出すことも出來ないので、その晩は、夜更けて、醉いつぶれた立川さんを殘して僕は歸り、その次ぎの日に又行つたのです。彼女は前の晩言つた通り、非常に熱心にそしてマジメに僕の相談に乘つてくれ、僕の問わない事まで話してくれたのです。今後も、そのつど、探索の相談相手になつてくれると言います。僕はうれしかつた。前途がすこし明るくなつたような氣がした。ただし、立川さんは自分の事を――自分が今ここに居てこんな事をしている事を、三好さんはもちろん、昔の知人や友人などの誰にも話さない約束をしろと言います。僕はそれを約束しました。
 そして、差し當り、二人の人の住所を教えてくれました。僕は、その二人をすぐ訪ねて行つたのです。

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