わからないでしようね、あんたなぞには。Mさんが生きていてくれたら、チャーンとわかつてくれるんだがな。つまり、そんだから、男なんかつまらないの。いいえ、つまらないなんて言い過ぎだけど、藝の前に連れて行けばだな、シバイというものの前に連れて行けば、男の魅力なんか、負け。シバイには飽きないけど、男には飽きるもの。いえ、そうで無い女も居るには居るでしよ。大部分がそうで無いかもしれない。しかしあたしは、そうなの。だから男運が惡いと言うよりも、あたしのセイで、あたりまえなの。だつてあたしには、男なんかの前に、チャンとシバイと言う御亭主が居るんだもの。そうなのよ、シヨウねえや!」
 話がどこへ流れて行くか見當がつきません。僕はだまつて聞いている以外にありませんでした。そのうちに、樂屋の入口の方から男の聲で
「――さん!」と景子の現在の藝名を呼んで
「すぐに出ですようー」
「オッケエ!」景子は、どなり返すや、急いで鏡の方へ向いて、顏を作りにかかりました。鼻の下をグイと伸してオシロイのパフを叩きつけたり、思いきり目をむいて横を見たり、實にコッケイなことをします。しかし當人は眞劍です。
「そうそう、そう
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